はじめに
2017年4月1日に「【非公式】ロマンティック数学ナイトボーイズ(以下、ロマ数ボーイズ)を開催しました!当日の様子をフォトアルバムのような感じでレポートします。40枚超えの画像ファイルが貼られておりますが、1ファイル当たり50KB〜100KBに抑えましたのでご安心ください。写真を撮っていただいたHF(仮)(@prinum2357)さんありがとうございました。
当日の様子に関しては、この業界で有名なもっちょさんが当日のtwitterのまとめもしてくださっています。臨場感溢れるtweetによる実況も是非楽しんでください。
なお、同日同時間帯に和から株式会社様主催の【公式】の「ロマンティック数学ナイトガールズ」も開催されていました。ロマ数ガールズのレポートは下記にまとめられておりますので、ぜひご覧になってください。
ロマ数ボーイズ開催
司会はソニーミュージックアーティストでお笑い芸人をされているセントラルパークの倉重かおるさん(以下、かおるさん)です!
「ロマンティックでも、ナイトでも、ボーイズでもない。あっているのは数学だけ」と言う開会宣言でロマ数ボーイズが開催されました。
かおるさんは数学好きが集まるイベントがあるとは信じれなかった、エイプリルフールの嘘ではないかと思っていたようです。。。
1.コロちゃんぬさん
〜食べられないパンと数学〜
トップバッターは普段高校の先生をされているコロちゃんぬさんです。
「パンはパンでも食べられないパンはなーんだ?」という定番のなぞなぞに対して、数学的な解を与えてくれました。
随所に数学ワードに関連付けたオヤジ顔負けのオヤジギャクを披露する笑いの絶えないプレゼンでしたwwwこんなに楽しく数学が学べるなんて、コロちゃんぬさんの生徒が羨ましいですね。
【コロちゃんぬさんの当日資料はこちらからご参照ください】
2.怪傑ギリジンさん
〜木を生やそう〜
2番手は現役高校生のギリジンさんです。
木の話?と思いきや数学の基礎論である公理論的集合論のお話でした。「アロンシャイン木」、「王(Konig)の補題」、「ススリン木」、「構成可能宇宙」、「ダイヤモンド原理」初めて聞く用語ばかりでしたが、それぞれの言葉にインパクトがあり、不思議な魅力を感じました。。。。「なんかすごそうだぞ」という小学生のような感想をtweetしてしまいました。。。
プレゼンの参考にされたという『キューネンの集合論*1』を購入したので、次ギリジンさんにお会いする時までには少しでも話せるようになりなりたいと思います。
プレゼン後「ロマンティックは?」とかおるさんに聞かれていました。。かおるさんのロマンティックいびりが始まった瞬間でしたww
3.tsujimotterさん
〜ロマンティックな9つの数について〜
3番手は日曜数学者の生みの親であるtsujimotterさんでした。
ヘーグナー数という虚二次体の類数に関する9つの数のお話です。「1、2、3、7、11、19、43、67、163」はヘーグナー数という性質を持つからこそ、素数をたくさん生成する多項式を生み出したり、ほとんど整数となるような数を生み出したりできます。
カメラ目線ですごくいい笑顔です(^^)数学に限らず好きなことを語る人達の笑顔は本当にいいものですね。今思えばこういった笑顔を見たいからこそロマ数ボーイズを開催したんだと思います。
かおるさんのロマンティックいびりに対して、答えるtsujimotterさん。かおるさんに伝わりきらなかったようで、残念そうな顔で席に戻っていくtsujimotterさんの姿を私は見ました。実はこの後の飛び込みプレゼンでtsujimotterさんが再登場します。乞うご期待。
【tsujimotterさんの当日資料はこちらからご参照ください】
4.ぼくけんくんさん
〜ボーイズは分解がお好き!〜
4番手はぼくけんくんさんです。
ボーイズは機械の分解が好きということで、数学における「分解」をいろいろ集めて報告してくださいました。「分解」という単語で数学的な手法、対象を見てみると、素因数分解、フーリエ展開、ホモロジーといった普段バラバラに考えているものたちに何かのつながりが見てきます。「分解とかけまして〇〇(ある数学の用語)とときます、その心は、□□なんです」みたいにこじつけでもいろいろ遊んだら楽しそうです。
5.蝶番さん
〜結晶と空間充填〜
歓談タイムを挟んでの5番目は蝶番さんです。
空間を充填する多面体の話です。結晶の格子点は規則正しく並んでいるので、各格子点を起点に3次元のボロノイ図を書けばたしかに空間を充填する多面体ができそうだと納得しました。
蝶番さんのプレゼンのすごいところは3次元を表現したアニメで視覚的に理解できるようにしてくださっているところです。おそらくGeoGebraというソフトを使われております。最近twitterでもたくさんの数学アニメを作られています。私もやってみたい。
歓談タイムの時には空間を充填する少しいびつな多面体の実物を持ってこられておりました。
6.ちゃんおぎさん
〜ロマンティックなので、〇距離恋愛について語ってみる〜
6番手はちゃんおぎさんです。毎週火曜に神保町のみらい研究所で行なわれている「3Dプログラミングのための数学勉強会」でお世話になっております。
レイマーチングという3Dプログラミングの手法で、立体のハートを描いています。ハートの描画には日常私たちがイメージするユークリッド距離を用いています。しかし数学は自由です。距離に関してもある特定の条件を満たせば数学的に距離と呼んでよく、ユークリッド距離以外の距離を用いるとハートはどのような形になるのか?といったお話です。
こんな感じになりました。詳しくはちゃんおぎさんの記事にて動画でご確認ください。
プレゼン中に距離を変えるところだけライブコーディングしたところが私の中では斬新でした。
一般的な意味でのロマンティック成分は十分にあったためか、かおるさんによるロマンティックいびりはなく、逆に褒められていたように記憶しております。
7.三好さん
〜パズルの母はメタパズル~図形パズルのコンセプトデザインについて~〜
7番手は「総務のおじさん」という自己紹介でお馴染みの三好さんです。
三好さんがコンセプトを提案されたGrowing Mirror Symmetryというパズルについてお話をしてくださいました。どのようにコンセプトが生まれたのか、またコンセプトからどういった過程でパズルが出来上がったのかといった話をメタパズル、メタメタパズルという用語を用いて説明されました。
パズルが出来上がるまでの過程を見ずに、出来上がったパズルだけを目にする機会の多い私たちは、「どうやってこんなパズル思いつくんだよ?」とパズル作成者と自分の能力の差に悲観的になってしまいがちですが(少なくとも私は)、大事なのは「図形の不思議に気づくこと」、「パズルを愛する仲間たちとの交流」とのことです。これはパズル作成に限った話ではないなと思いました。常にアンテナを伸ばしておき、同じものに感動できる仲間たちと話すことで、すばらしいモノを生み出すことができるのではないでしょうか。
最後突然Romantcというスライドでプレゼンが終わったため、
当然ロマンティックいびりが始まりましたwww
歓談タイムでは参加者の方がGrowing Mirror Symmetryを実際に触っておられました。
8.s.t.さん
〜TDAしnight!!〜
8番手はロマンティック成分はないと最初に断っておいたs.t.さんです。
Topological data analysisという分野のお話です。
いつもたくさんの数式を超スピードで発表されるs.t.さん。今回はこのような絵のスライドもあり説明が丁寧だと言われていました。persistent homologyという道具を使っているようなのですが、私には難しいかったです。ただ楽しそうに話すs.t.さんを見るのは好きです。
歓談タイムではガチな話をされておりました。
9.みうらさん
〜4階と5階のあいだ〜
二回目の歓談タイムを挟み、9番手は現役大学院生のみうらさんです。
スタイリッシュに、安定の語り口でプレゼンをしてくださいました。カタラン予想を語りつつ、n/(n+1)、(n+1)/nが共に有限小数になるのはn=4の時のみであることが示されました。
有限に思いを馳せる。ロマンティック成分は人それぞれです。かおるさんからは「ロマンティック カムバック!」と褒められていました。
【みうらさんの当日資料はこちらからご参照ください】
10.nkjmゆうさん
〜「もんもん」とした生物多様性を計算する〜
10番手は生物学の分野から登場のnkjmゆうさんです。いつも生物学の話に数学を織り交ぜてプレゼンしております。
「目に見える生物はあんまり興味ない」ということで、細菌がお好きのようです。生物の種類の分類の階層に「門」というものがあるようで、「細菌の世界にはどれだけ門があるねん?」という問題に数式を使ってった話のようです*2。
細菌は目に見えないだけですごく多様ってことです。
11.小清水さん
〜2進数フレンズ〜
11番手は小清水さんです。
話題のけものフレンズを題材に2進数の世界の話です。けものフレンズの主題歌を歌おうとしましたが、歌詞を忘れてしまったようで失敗しましたwww
コンピュータでは2進数で数が表現されていて、2進数で表現しているからこそ起こる不思議な現象を紹介されました。また負数の表現の話のところは、加藤文元先生のp進数の入門書でも同じような話が出てきており面白かったです*3。
やはりまとめで突然のロマンティック成分www
この後かおるさんのロマンティックいびりが始まったのは言うまでもありません。誤解のないように言っておきますが、かおるさんはロマンティックいびりをしつつ会場を盛り上げてくださっています。さすがプロのお笑い芸人さんは違います。
12.mattyuu
〜書を捨てよ町へ出よ素数を見つけよう!〜
最後は私のプレゼンです。
今年も素数が熱いぞということで素数に関するプレゼンです。最初の自己紹介のスライドの辺りの発表は緊張していたのですが、素数の話を始めた時から急に緊張が消え、自分の声をたくましく感じる瞬間がありました。不思議な体験でした。
「素数コレクター!」という街中で素数を集めるAndroidアプリを開発し、その紹介をさせていただきました。
歓談タイムで参加者の方が紙に書いた3つの素数も、
ばっちり素数としてコレクトすることができました。ちゃんと動いてよかった。。。
【素数コレクター!のプレゼン内容はこちらからご参照ください】
mattyuu.hatenadiary.com
飛び込みプレゼン1 tsujimotterさん
飛び込みプレゼンお一人目は「補足スライドが本編」とおっしゃるtsujimotterさんが再登場です。
j関数、虚数乗法という数学用語を用いて、本編の発表では伝えきることができなかったロマンティックに関して語ってくださいました。プロの数学者とアマチュアの数学好きの間には壁、ギャップがあるように感じますが、実はそんなことはなく、私たちの目の前に現れる不思議な現象(今回の例では本編の素数を生成する多項式やほとんど整数の話)の背後に、陸続きで昨今のプロの数学者の研究が繋がっているのです。というお話でした。
数学それ自体がロマンティックだと語るtsujimotterさん。確かにそうでした。ロマ数ボーイズではプレゼンにロマンティック成分を入れるように頼んでおりましたが、そんな必要は全くなかったということを認識した瞬間でした。
自分が好きな「ロマンティックな数学」の話を熱く語る、これ以上ロマンティックなことがありますでしょうか(いや、ない)。
飛び込みプレゼン2 宮永さん
飛び込みプレゼンお二人目、そして最後のプレゼンターは宮永さんです。
九連環という知恵の輪の解法が、
なんと紙を半分に折っていくときの山折り、谷折り、紙が下か、上かといった情報と1:1に対応するとのことです。数学の魅力として、異なる分野で思いもよらないつながりが発見されるということがありますが、まさにその例だと思いました。
tb_lbさんからの挑戦状
参加者の方には、tb_lbさんからの数学の問題3題を配布しました。tb_lbさんはMathPowerへの良問の問題提供で話題を集めたお方で、お忙しい中突然のお願いに対して快く問題を作っていただけました。どれもこの上なく面白いです。私は問題2が好きです。驚くべきことに問題や解答が開催日4月1日の4、1に絡んでいます。こちらにも貼り付けますので、まだ解いてない方はぜひ挑戦してみてください。
【問題1】
【問題2】
【問題3】
さいごに
なんと!何らかのトレンドのランキングで、同日にセンバツ決勝を決めた"大阪桐蔭"に続くトレンドワードとして"#ロマ数ボーイズ"が2位にランキングすることもできました!盛り上げてくださったみなさんありがとうございました!
今回イベントが成功したと言っても良いのは、司会のセントラルパーク倉重かおるさん、問題提供をしていただいたtb_lbさん、プレゼンターが定員に達さず突然のお願いにも関わらず快くプレゼンターを引き受けてくださったプレゼンターの方々、会場が狭いのに文句を言わず楽しんでくれた参加者の方々、事前準備、当日準備を手伝ってくれた幹事グループの皆さん、ボーイズと名乗ってイベントを開催することを承認してくださった和から株式会社様のおかげです。本当にありがとうございましたm( )m
最後に記念撮影です。みんないい笑顔です(^_^)
*1:
*2:私の席からはnkjmさんのスライドが見えず、自分のプレゼンも迫っていて心に余裕がなく、ゆっくり見れてません。。すみません。誰か補記できる方はご連絡ください。。。
*3: